安全で美味しく食べる

~安全で美味しく食べる~

歯・口の健康を保つ目的は何なのでしょう? 歯・口は、かむ、 飲み込む、話をするという機能に加えて食べ物を味わい美味しい と感じる場でもあり、これによって心の寛ぎを得るなど生きてい く上での心身の健康維持に大きな基本的役割を担っています。

ですから、歯・口に病気や異常がなければ、それぞれの機能を 充分に発揮して身体と心の栄養を充分に取り込むことができますので、生活全体が 健康になり、QOL(生命、生活、人生の質)を高めることができるわけです。

歯・口は、消化器の一部であると同時に呼吸(言語)器の一部でもあります。

そこで、健康な歯と口を中心にして食べる機能や話す機能などの機能が営まれて

なかでも、食べる機能は、呼吸とともに生きるための基本機能であり、日常頻度 高く繰り返される生活機能であるため、歯と口の健康が阻害されると日常生活を送 る上で影響が大きいことは誰もが経験するところです。

特にかむ力やのみ込む力が衰えると窒息事故や誤嚥による肺炎などの原因となる こともあり、安全に食べるための支援が必要となります。

日常生活において食事で頻度高く使われる口の機能は、同時に意思の表出のため の言葉を話し、表情を作ってコミュニケーションを行なう機能の礎でもあります。 このような食べる機能を含めた口の機能は、生涯わたって毎日の生活の場で必要と される生活の基本となる機能であることから、この口を通して満足感を得ながら生 活の質(QOL)の向上を図ることが可能なのです。

特に、高齢者については、毎日の生活の中で食事の楽しみの要素が大きいため、 健康の維持増進ばかりでなく機能の維持向上を促す生活支援が必要なことも多くあ ります。高齢者に対する歯・口の健康対応には、家庭や施設の生活に関わる人達に よる口腔のケアへの指導支援も不可欠です。多職種の連携による保健指導や支援に よって、それぞれの時期に健康の維持増進がなされ、生涯にわたって安全で美味し く食べることが、健康長寿への着実な歩みとなります。

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昭和大学歯学部 口腔衛生学教授

向井 美惠

第60回 九州歯科医学大会シンポジウム